ノノノート
はじめましてノノ編
ノノはいつものぶかぶかのコートを羽織り、音羽なんていう名は名ばかりの、伽藍と無機質な通りの警察署そばのカフェーの一番後ろの席に腰かけ、煙草を一人くゆらせていました。
頭をくっと落としてテーブルの上の灰皿やさっき噛んでたチューイングガムなんかを見つめていたかとおもえば、チラッチラッっと長い睫毛を揺らして、そばにいる人の頭の形を眺めたりして、頭の形って色々あるのだな、知らなかった、などと思ったり、考え事は大気圏を越えた宇宙飛行士の身体のように漂ってどこまでも流れてゆくのでした。
やがて煙草の匂いがたっぷり染み込んだコートの右ポケットからちぢれたメモ紙を取り出すと指で摩って、今度は内ポケットから傷だらけのボールペンをつまみあげカチカチ噛んで鳴らすと何やら書き入れて行きます。
書いてはまた、ぼーっと考え、気に入らないと噛んでいたガムを包んで丸め、煙草でジュッと焼いたりして、テーブルの上に遊ばせておくのです。
2時間ほど考え事をして、ノノはため息をつくと、うんうんと納得した顔で頷いて、
人生をもっとドキドキさせる方法を20個考えないと、
そう最後に書き入れ、紙ぺらを半分に折り、内ポケットにそっと差してカフェーを後にしたのでした。帰り道にスキップを一度だけ試すとノノは真面目な顔でコクリコ坂を駆け上って行きました。
頭をくっと落としてテーブルの上の灰皿やさっき噛んでたチューイングガムなんかを見つめていたかとおもえば、チラッチラッっと長い睫毛を揺らして、そばにいる人の頭の形を眺めたりして、頭の形って色々あるのだな、知らなかった、などと思ったり、考え事は大気圏を越えた宇宙飛行士の身体のように漂ってどこまでも流れてゆくのでした。
やがて煙草の匂いがたっぷり染み込んだコートの右ポケットからちぢれたメモ紙を取り出すと指で摩って、今度は内ポケットから傷だらけのボールペンをつまみあげカチカチ噛んで鳴らすと何やら書き入れて行きます。
書いてはまた、ぼーっと考え、気に入らないと噛んでいたガムを包んで丸め、煙草でジュッと焼いたりして、テーブルの上に遊ばせておくのです。
2時間ほど考え事をして、ノノはため息をつくと、うんうんと納得した顔で頷いて、
人生をもっとドキドキさせる方法を20個考えないと、
そう最後に書き入れ、紙ぺらを半分に折り、内ポケットにそっと差してカフェーを後にしたのでした。帰り道にスキップを一度だけ試すとノノは真面目な顔でコクリコ坂を駆け上って行きました。