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『雨さんのはなし』


雨さんとはよくケンカになった。
悪い人ではないのだが、間が悪く、人の触れてほしくないところに入り込んでくる天才なので、僕は雨さんとはきょくりょく距離をとってお付き合いをしていた。雨さんは僕以外にもいたるところで諍いをおこしていた。なかなか大変だ。僕は、少し遠くに行って、雨さんのことは忘れて、自分のことをいろいろしていた。しばらくして、雨さんとうまく付き合う３原則が偶然に見つかった。自分なりで、完ぺきではないけれど、だいたいこんな感じ。１．正直でいる。２．長々と話さない。３．ほおっておく。これを適当に実践していたら、雨さんとケンカになることがとても少なくなった。友人は、雨さんと僕がケンカをしないものだから、そのぶんの集中豪雨を浴びた。（すまん…。）ある時のこと、雨さんが僕のところにやってきて言った。あなたは自分を守るのがうまいからいいな。そう言う風に言われた。当時はぼんやりとしてわからなかったのだが、今はだいたいわかる。雨さんは、傘を持っていなかった。それで人一倍、いろいろと大変だった。雨さん、今、どうしてる?