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  川辺トポロス

ノノノート
夕暮に飛び立つ編


​空を飛ぶ方法はいくつかありますが、それぞれにその技術や方法に違いがあります。

魔法使いであれば、箒1本で充分ですが、ノノの場合は、掃除こそすれど箒は箒、うんともすんとも飛びません。


そんなノノが昨夜飛んだのです。

しかも、飛行機やヘリコプターなど使わずに。

​いったいどうやってノノは飛んだのでしょう?


空を飛ぶためには、まず空が好きでなくてはなりません。嫌いな人は空だってそりゃあ受け止めてくれるはずがありませんから。

ふんわりと、しかし、一定の緊張を保って飛び立つのがコツだそうです。

一円玉を水でいっぱいになったコップの表面に浮かべるように、繊細なバランスと感覚を保って飛ぶのです。


ノノはとある人から、空を飛ぶ方法を聞きました。


この人は日本ではかなり有名な詩人です。しかし、僕は本当は宇宙人なんだ、そう詩人はノノにこっそりと教えてくれました。


彼とは、とある東京のBARで出会いました。


とあるとあると匿名な言葉ばかり並べていますが、これはもちろんこの詩人が宇宙人であることが、世間に知れ渡らぬよう、配慮してのことです。


「孤独を知らない人はまず飛べないよ」とこの詩人はノノに言いました。

「つまり、人とばっかり会っていると、足を使って歩くということを当たり前だと思ってしまうだろ。

そういう考え方を覚えてしまうと、そう簡単には飛べない。君は、自分が人間である、ということを一旦忘れなきゃいけないよ」

「自分が人間であるということをどうすれば忘れることが出来ますか?」とノノは慌てて詩人に尋ねました。

「そりゃあ君、一人になることさ」


ノノも結構一人でいることが多いタイプの人です。自分ではあまり気づいていませんが。
実は、この詩人、「こいつなら飛べるかもしれない」と思ってノノに話しかけていたのです。
そういうのって、匂いを嗅ぐみたいに、わかるものなのでしょうか?


詩人がノノをたしなめるように言うには、飛ぶということが大切なのではない。がむしゃらに飛ぶのではなくて、何処から飛ぶのか?どういうタイミングで飛ぶのか?どのくらいの距離を飛ぶのか?そういうことが大切なのだということでした。詩人は「気持ちを乗せる」という言葉を使ってノノに表現しました。

「飛ぶときには、気持ちをそこに浮かばせなくてはいけないんだ。ただ飛ぶだけなら虫にでも出来る。どういう気持ちを浮かばせられるかだよ君。そこが大切なんだ。それから君、飛ぶタイミングだけれど、初心者は夕暮時を狙うといいよ。場所は、出来れば自分の家の屋上。バルコニーからでも飛べるけれど少し目立ち過ぎる。屋上がいいよ。失敗してもただの自殺に思われるだけだから心配しなくていい。でも、他人の家でやると他人に迷惑がかかってしまうだろ?それは、やめた方がいい。飛ぶという行為は他人に迷惑をかけてまですることではないのだよ」

ノノは、自分の住んでいるアパートの屋上に行ってみました。昼チェックした時と夕暮時では屋上の見え方も全然違いました。夕暮時の街はだんだんと水の中に沈み込んでゆくように感じられました。コップや水槽に水が満たされてゆくように、街の空気がとっぷりと浸ってゆきます。

ノノは最初、飛ぶということは自分の力で羽ばたくということだと考えていましたが、実際にそれを行うと全然イメージしていたのと違いました。

浮かぶという感覚にむしろ近いのです。

例えるならば、夕暮時の空気に身を浸していくうちにだんだんと外の空気が重さを増し、それと比較して自分の体が軽くなり自然と浮き始めるといった感じです。

ノノは自分の体が充分に浮いていることを確かめると、そっと屋上の柵に足をかけ、外へ飛び出しました。不思議と不安は一切ありませんでした。近所の公園の鳩を手に持った少女の像のあるところまで、ノノは飛んで行きました。ノノがその像の横に降り立つと、ノノの初めての飛行を祝すように、少女の像は微笑みを浮かべていました。

「飛んだ後には、水を沢山飲んだ方が良いからな」と詩人から教えられていたので、近くのコンビニでペットボトルの水を買い、ノノはごくごくと飲みました。

街を見渡すと信号待ちしている人がいたり、犬を散歩させている人がいたり、日常が変わらずそこに流れていました。ちょっと哲学的なもの言いになるのですが、日常がそこに流れているということが、ノノには特別なことに感じられました。

少しだけ景色がズレているみたいな、そんな時間が流れています。
たまにこうやって飛んでみるのも悪くない、ノノはそう思ったのでした。