ノノノート
ムーン・リバー編
ノノのところに今度遊びにいくよ、っとトトから連絡が入ったのは、夏の夕暮れどきのことでした。
トトは旅先の電話ボックスからテレフォンカードを使って電話をしているらしく、すぐに電話が切れるから、大切なことだけ言うね、学校に無事合格したから、急遽日本に一時帰国することにしたの、あなたのところにも寄るから、わたしの好きなものをちゃんと用意しておいて。そう矢継ぎ早に言うとトトの声はそこで途絶えたのでした。
ノノはさっそくトトのために、メロンパンと美味しいお茶と念のために塩辛を買いました。外国で暮らしていると時々変なものが恋しくなるのだそうです。
さて、明日にはトトがやってくる、そんなことを想いながらノノがソファーで寝転んでいると窓の外からぽろんぽろんとガットギターの優しい音色が響いてきました。
ノノは起き上がって窓の外を見下ろしました。窓辺に女性がひとり膝を立てて座り、ギターを弾いています。女の人はどこか懐かしく、ロマンチックな歌を囁くような声で歌っていました。それはまるで映画のワンシーンのように甘く美しい景色でした。
気がつくとノノは眠っていました。
トントンっとアパートの扉を叩く音がきこえます。ノノが目を覚ましてあわてて扉を開くてと眩しい朝の光がトトのほっぺたを照らしていました。
「おはよう」
とトトはノノに言い合いました。
トトがヨーロッパから持ち帰ったシャンパンをふたりは開けて、メロンパンとシャンパンの朝食をふたりで食べました。
朝食を食べながらノノは、君が来る前に誰かがこんな歌をうたっていたんだ、っとトトに昨日聴いたうたのメロディーを聴かせました。
トトはそれを聴いてからしばらく考えると、指をパチンと鳴らして、それはきっとムーン・リバーよ、っとノノに教えました。
ティファニーで朝食を、という映画の主人公がこの歌をうたうのよ、とトトは付箋に書いて渡すようにノノに言いました。
ティファニーで朝食も素敵だけれど、僕たちのメロンパンとシャンパンの朝食は本当に最高だね、とノノはトトに言いました。ほんとうに、っとトトもうなづいて同意しました。
そしてふたりはこの朝食をムーン・リバーブレックファーストと名付けることにしました。またいつかムーン・リバーブレックファーストをどこかで一緒に食べよう、っとふたりは約束したのでした。
トトは旅先の電話ボックスからテレフォンカードを使って電話をしているらしく、すぐに電話が切れるから、大切なことだけ言うね、学校に無事合格したから、急遽日本に一時帰国することにしたの、あなたのところにも寄るから、わたしの好きなものをちゃんと用意しておいて。そう矢継ぎ早に言うとトトの声はそこで途絶えたのでした。
ノノはさっそくトトのために、メロンパンと美味しいお茶と念のために塩辛を買いました。外国で暮らしていると時々変なものが恋しくなるのだそうです。
さて、明日にはトトがやってくる、そんなことを想いながらノノがソファーで寝転んでいると窓の外からぽろんぽろんとガットギターの優しい音色が響いてきました。
ノノは起き上がって窓の外を見下ろしました。窓辺に女性がひとり膝を立てて座り、ギターを弾いています。女の人はどこか懐かしく、ロマンチックな歌を囁くような声で歌っていました。それはまるで映画のワンシーンのように甘く美しい景色でした。
気がつくとノノは眠っていました。
トントンっとアパートの扉を叩く音がきこえます。ノノが目を覚ましてあわてて扉を開くてと眩しい朝の光がトトのほっぺたを照らしていました。
「おはよう」
とトトはノノに言い合いました。
トトがヨーロッパから持ち帰ったシャンパンをふたりは開けて、メロンパンとシャンパンの朝食をふたりで食べました。
朝食を食べながらノノは、君が来る前に誰かがこんな歌をうたっていたんだ、っとトトに昨日聴いたうたのメロディーを聴かせました。
トトはそれを聴いてからしばらく考えると、指をパチンと鳴らして、それはきっとムーン・リバーよ、っとノノに教えました。
ティファニーで朝食を、という映画の主人公がこの歌をうたうのよ、とトトは付箋に書いて渡すようにノノに言いました。
ティファニーで朝食も素敵だけれど、僕たちのメロンパンとシャンパンの朝食は本当に最高だね、とノノはトトに言いました。ほんとうに、っとトトもうなづいて同意しました。
そしてふたりはこの朝食をムーン・リバーブレックファーストと名付けることにしました。またいつかムーン・リバーブレックファーストをどこかで一緒に食べよう、っとふたりは約束したのでした。