2019年4月9日
『父と娘は踊るように、一緒に』
先週の土曜日、僕は朝の有楽町線に揺られていた。すると目の前、寄り添いあうカップルのようなふたりが目に留まった。
男はレモンイエローのニット帽をかぶり、黒のパーカーを着たオシャレな人、ちょっぴりワイルドな顎髭をはやしていた。
その横にぴったりと、女の子が男に軽く寄りかかるように立っていて、男は肩ぐらいまで伸びた彼女の髪を優しく撫でていた。
ふたりの身長差と女の子の年齢(たぶん小学校5年生くらい)から、最初カップルかな?っと思ったふたりは、実は父と娘であったことがわかった。
僕はふたりに、そしてふたりを包む空気に、なんとも言えぬ感銘をおぼえた。品があって、すごく素敵だった。
ふたりはとても仲がよくて、お互いに対して安心感を持っていて、すごく自然にふるまっていて、結果として、ふたりはお互いのことがとっても好きでいる、という空気が風のように、こっちに伝わってきた。
ふたりはひそひそと話しあって、微笑みあい、遊ぶように、もうほとんど、踊っているように時を過ごしていた。
つり革を握る父の二の腕の上と下に出来た空間を、女の子が招き猫のような動きでノックすると、父はもう片方の手に持っていたジュースの缶を彼女に手渡し、娘がしたように、招き猫の手で、缶ジュースを握る娘の二の腕の上と下に出来た空間をノックする。
ふたりは品の良い笑顔を浮かべて、こういうオシャレなじゃれ合いを繰り返す。
僕は彼らを眺めながら、ふと敬愛するドイツの振付家、ピナ・バウシュのことを考えていた。そして、なんだか彼女の舞台を見ている時の感じを、懐かしく思い起こした。
好きな人同士が一緒にいるだけで、本人たちも意識しないところで、素晴らしい振り付けが作られ、魅力的なダンスが生まれるんだなぁ、と改めて感じた。
素敵な踊りを久しぶりに見た、という気がした。
先週の土曜日、僕は朝の有楽町線に揺られていた。すると目の前、寄り添いあうカップルのようなふたりが目に留まった。
男はレモンイエローのニット帽をかぶり、黒のパーカーを着たオシャレな人、ちょっぴりワイルドな顎髭をはやしていた。
その横にぴったりと、女の子が男に軽く寄りかかるように立っていて、男は肩ぐらいまで伸びた彼女の髪を優しく撫でていた。
ふたりの身長差と女の子の年齢(たぶん小学校5年生くらい)から、最初カップルかな?っと思ったふたりは、実は父と娘であったことがわかった。
僕はふたりに、そしてふたりを包む空気に、なんとも言えぬ感銘をおぼえた。品があって、すごく素敵だった。
ふたりはとても仲がよくて、お互いに対して安心感を持っていて、すごく自然にふるまっていて、結果として、ふたりはお互いのことがとっても好きでいる、という空気が風のように、こっちに伝わってきた。
ふたりはひそひそと話しあって、微笑みあい、遊ぶように、もうほとんど、踊っているように時を過ごしていた。
つり革を握る父の二の腕の上と下に出来た空間を、女の子が招き猫のような動きでノックすると、父はもう片方の手に持っていたジュースの缶を彼女に手渡し、娘がしたように、招き猫の手で、缶ジュースを握る娘の二の腕の上と下に出来た空間をノックする。
ふたりは品の良い笑顔を浮かべて、こういうオシャレなじゃれ合いを繰り返す。
僕は彼らを眺めながら、ふと敬愛するドイツの振付家、ピナ・バウシュのことを考えていた。そして、なんだか彼女の舞台を見ている時の感じを、懐かしく思い起こした。
好きな人同士が一緒にいるだけで、本人たちも意識しないところで、素晴らしい振り付けが作られ、魅力的なダンスが生まれるんだなぁ、と改めて感じた。
素敵な踊りを久しぶりに見た、という気がした。